パリ、ジュテーム Paris, Je t’aime.

January 30th, 2009

18人の監督が、5分づつの与えられた時間の中で描くパリ。パリの20の区のうちの18の区で18組の俳優たちが18のストーリーで今のパリを、監督の思い描くパリを、あるいは監督がパリという舞台においてみたかったであろうシーンを展開する。

去年、2008年の3月日本公開で、フランス公開は2006年6月。

パリ、ジュテーム ポスター.jpg

(↑は、日本公開のときのポスターだけど、これ本国フランスとアメリカでまたそれぞれ違うんですね。→ 各国のポスターを見る)

「こんな映画」と、一言では語れないくらい、ほんとうにそれぞれの短編が個性豊か。それぞれのタイトルと監督の名を見るだけでも、その多彩さが想像できる。

  1. モンマルトル(18区) Montmartre : 監督:ブリュノ・ポダリデス/出演:ブリュノ・ポタリデス、フロランス・ミュレール
  2. セーヌ河岸(5区) Quais de Seine : 監督:グリンダ・チャーダ/出演:シリル・デクール、レイラ・ベクティ
  3. マレ地区(4区) Le Marais : 監督:ガス・ヴァン・サント/出演:ギャスパー・ウリエル、イライアス・マッコネル、マリアンヌ・フェイスフル
  4. チュイルリー(1区) Tuileries : 監督:ジョエル&イーサン・コーエン/出演:スティーヴ・ブシェミ
  5. 16区から遠く離れて(16区) Loin du 16e : 監督:ウォルター・サレス、ダニエラ・トマス/出演:カタリーナ・サンディノ・モレノ
  6. ショワジー門(13区) Porte de Choisy : 監督:クリストファー・ドイル/出演:バーベット・シュローダー
  7. バスティーユ(12区) Bastille : イザベル・コイシェ/出演:セルジオ・カステリット、ミランダ・リチャードソン
  8. ヴィクトワール広場(2区) Place des Victoires
    諏訪敦彦/出演:ジュリエット・ビノシュ、ウィレム・デフォー、イポリット・ジラルド

  9. エッフェル塔(7区) Tour Eiffel : シルヴァン・ショメ/出演:ポール・パトナー、ヨランド・モロー
  10. モンソー公園(17区) Parc Monceau : 監督:アルフォンソ・キュアロン/出演:ニック・ノルティ、リュディヴィーヌ・サニエ
  11. デ・ザンファン・ルージュ地区(3区) Quartier des Enfants Rouges : 監督:オリヴィエ・アサヤス/出演:マギー・ギレンホール
  12. プラス・デ・フェット(19区) Place des Fêtes : 監督:オリヴァー・シュミッツ/出演:セイドゥ・ボロ、アイサ・マイガ
  13. ピガール(9区) Pigalle : 監督:リチャード・ラグラヴェネーズ/出演:ボブ・ホスキンス、ファニー・アルダン
  14. マドレーヌ地区(8区) Quartier de la Madeleine : 監督:ヴィンチェンゾ・ナタリ/出演:イライジャ・ウッド、オルガ・キュリレンコ
  15. ペール・ラシェーズ墓地(20区) Père-Lachaise
    監督:ウェス・クレイヴン/出演:ルーファス・シーウェル、エミリー・モーティマー

  16. フォブール・サン・ドニ(10区) Faubourg Saint-Denis
    監督:トム・ティクヴァ/出演:メルキオール・ベスロン、ナタリー・ポートマン

  17. カルチェラタン(6区) Quartier Latin : 監督:フレデリック・オービュルタン、ジェラール・ドパルデュー/出演:ベン・ギャザラ、ジーナ・ローランズ
  18. 14区(14区) 14e arrondissement : 監督:アレクサンダー・ペイン/出演:マーゴ・マーティンデイル
  • 各話のつなぎ部分 監督:エマニュエル・ベンビイ、フレデリック・オービュルタン

というぐあい。

それぞれのちょっとした内容は → 特別ページで。

パリ Paris

January 5th, 2009

「パリ」がタイトルに入った映画は、数々あるけれど、これはその名もずばり、『パリ』。原題も “Paris”。フランスでは2008年2月に公開された、セドリック・クラピッシュ監督(『猫が行方不明』『スパニッシュ・アパートメント』『ロシアン・ドールズ』)の最新作。

パリの風景をいろいろ見せてくれる、というのは、映画がはじまる前からの期待どおり。ただ、そのパリは、観光案内や雑誌のパリ特集号に出てくるいかにもファッショナブルなパリではなくて、いろいろなパリの人々が普通に暮らす日常のパリでした。

© Mars Distribution Galerie complète sur AlloCiné

もしかしたら余命いくばくもないかもしれないと知らされた元ダンサーのピエール(ロマン・デュリス)。その姉で、3人の子を1人で育てているソシャールワーカーのエリーズ(ジュリエット・ビノシュ)。その二人を中心に、市場で働く人々、建築家、大学教授、学生たち、移民の人々、パン屋の女主人、ホームレスの男、ファションモデル…といった人々の人生がパリという同じ舞台で出あったり、すれ違ったりする。

パリのさまざまな場所だけでなくて、ライフスタイルも、しゃべりかたもそれぞれに異なるありとあらゆる社会階層のパリジャン、パリジェンヌのパノラマ。見ていて、「ああ、こんな人いるいる」という感じ。

パリに慣れ親しんだ人には、それぞれのなつかしいパリを、そして観光案内のパリしか知らない人には、パリの人々が体験しているパリの一端を見させてくれるはず。

そして、ふつうの人々の生活の一瞬一瞬、街の風景の一こま一こまが、死ぬことになるかもしれない1人の男の目をとおして、かけがえのないものになっていく、そんな2時間を体験したあと、映画館を出て東京の街を歩きながら、「Tokyo」と思わずつぶやていた。

公式サイト http://www.alcine-terran.com/paris/
見てきた映画館 Bunkamuraル・シネマ (12/20(土)~)

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